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| ■つれづれ草 |
【福井 良之助先生】
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ふるさと
子供時分、夏休みになると「僕は田舎に帰るんだ」という子がいて、その子が
羨ましく、なんで僕には田舎がないんだろうと思ったものだ。
生まれは日本橋のゴミゴミしたど真ん中で、おやじのやっていた店は今は昭和
通になってしまって車がブンブン走っている。
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下町の粋な格子造りの間口に
“丸一”とかなんとか紺の染め分けの
暖簾があって、自転車が沢山置いて
あったこととか、水天宮の傍らの三好
家というあんみつ屋があって粋筋の
おねえさん達が来ていて、おふくろも
夜寂しいと内緒で汁粉をたべたり、
おやじが十五、六人の半玉達を連れ
てワイワイ騒いだりした話を聞いてい
たので、三好家は子供心にも楽しい
ところでもあった。 |
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時代が変わり、少年期は戦争戦争であった。
第二のふるさとといえば疎開先の一ノ関である。雪が燦々と降る明るい日の暖
ったかい雪だとか、風がビューと鳴り、粉雪が舞う夕暮れの冷たく淋しい雪だと
か、雪を通じて人間を想い出したりもした。
結論において自分が今、在る、という場所がたとえそれが何処であっても、ふ
るさとであるということである。ということは、ふるさとはいつも自分自身の心の中
に自由に生きているということである。
出身地/東京都
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