 |
|
| ■つれづれ草 |
【後藤 又兵衛先生】
|
|
尾張一宮1930年 
私の故郷、尾張一の宮は、濃尾平野の丁度まん中にあり、伊勢湾からも遠く、
美濃の山々へも遠い。現在は人口三十万ほどの地方都市の一つなのだが、私
の幼少時代、つまり1930年頃は三万弱の小さな町であった。
私はその頃の故郷の町の様子をまるで童話のように追想するのである。
 |
恵比寿様の祭り、
夏の盆踊り、
お天道様の縁日、
桃花祭、
眞澄田様の輪くぐり、
代々祭り。
|
年中行事は私にとって一番の楽しみだった。
徳川佛教が栄えた土地柄らしく、町には不釣り合いな大きなお寺が七ツほどあ
った。夕べの梵鐘がいっせいに鳴りはじめると、子供たちは遊びをやめて家々に
帰るのである。
 |
私の町は機織屋と紺屋が多かった。町の中を流れる大江川
の川端には家族労働だけの貧しい紺屋が軒を並べていた。
川に突き出たトタン屋根の水洗場から、緑、 朱、紺の染色
が帯のように川下に流れていくのである。私はなぜか、その
川端の情緒が好きであった。
|
私の絵、「尾張一宮1930年」は、幼年時代の追憶から
生まれたものである。
|
出身地/愛知県
|
|
つれづれ草トップへ 前を読む 次を読む
|
|
 |