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| ■つれづれ草 |
【三岸節子先生】
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根 性 
私のふるさとは尾西市で、尾張と木曽川をはさんで美濃の国、つまり愛知県の
果てです。信長、秀吉の出たところですが、ふるさとのもっている根性は脈々と
私の中に息づいています。
非常に粘り強い精神は尾張の人間に生きている血ですね。どんなに絶望に陥っ
ても、闘争精神といいますか盛んなファイトは戦国時代以前からのものでしょう。
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信長が一番好きで、老獪さのある家康は
好きになれません。この土地のもっている
風土とか性格魂と いうものは血のように
色濃く私に流れています。
ですから猪突猛進の失敗を何回経験したか
知れません。
反省また反省ですが、八十年近い人生は
反省の繰り返しでしたね。
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三岸好太郎に出会ったということも私の人生には非常に大きなプラスをして
います。好太郎自身も私の田舎に何ヶ月と暮らしましたが、封建色の濃い土地
ですから、その風土のもつ精神をいい意味で摂取しました。
今、眼を閉じますと木曽川が浮かんでまいります。
お琴、お裁縫を習いに木曽川の川辺のお師匠さんのところに通っていましたが、
いつも川岸に下りてひとり遊んでました。
朝昼晩、風景が非常に変わるんです。
セザンヌの絵を見た時「あっ木曾川の風景によく似ているな」と思いました。
坦々たる平野の真中を大河が流れているだけですが、霧や雨、自然の変化が
すばらしい。それに河原の砂が純白で、いっそう切なくなる程に美しい。
田舎へ帰ると私の家は没落してしまったので楽しいことはございませんでした
が、その没落がために絵を描く決心をしたのですから、人生と申すものは不思議
なものです。
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