 |
|
| ■つれづれ草 |
【西村 龍介先生】
|
|
ふるさと思い出のまま
ふるさとと言ってまず浮かぶのは、白い帆を張って瀬戸海を進む舟、真黒にな
って浅瀬で小魚を追う少年の姿、源氏ぼたるの飛び交う夢もどきの出会川、
少年期の遊び友達で戦死したN君の思い出、等々、次から次へと思い浮かんで
くる。
しかし今、目を閉じてあらためて「ふるさと」を問うとき、幼少の過去より終戦
後の生活を送った山口市瑠璃光寺の想い出が一番強烈である。
|
 |
昭和十六年美術学校卒業と同時に
出征し、軍人としての型にはめられ
特攻隊要員として昭和二十年八月
沖縄攻撃の為に北朝鮮から東京
福生の飛行場に着陸、その時に
終戦、
|
九死に一生を得て復員したのが郷里山口市、そして再上京する迄の四年間
を古刹瑠璃光寺で過ごす。
位牌堂の隣の一室を画室として、軍人でなく、さいわい生き延びて絵が描ける
と無上の欣びが心の底からこみあげてくる毎日だった。
薄暗い早朝、方丈木村智道導師の読経の声、裏山の竹林、春かすみ、池に浮
かぶおしどり、雪の池、月夜の五重塔。欧州の旅さきノルマンデーで、あるいは
アベロンの里で、夢に見たり、ふと、想いだすのは不思議と瑠璃光寺である。
早起き、禅、お茶、禅寺での四年間の生活は、少なからず自分の人生に大き
な影響をあたえられていると思う。
出身地/山口県
|
|
| つれづれ草トップへ 前を読む 次を読む |
|
 |