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(株)薔薇画廊
〒104-0061
中央区銀座7-2-4
松尾ビル2階


tel:03-3573-0783
fax:03-3573-0784
info@baragaro.com
■薔薇の肖像


  【織田 広喜先生】   野薔薇の家                           


    三十数年前、その頃家を探しており、祖師谷は安いのではないかと家内と来て

   みました。


   見渡すかぎりどこまでも畠が続き、家一軒なく、はるか遠くに人影がみえるだけで

   す。家内が畦道を走ってその人に尋ねますと、有難いことにこの地方の大地主で

   した。


   先祖の土地をお売りする事はできないが、お困りならお貸ししましょうと申してくれ

   ました。
    


薔薇の咲く頃


    それからが大変。

   木材を運んでももらい自分で家を建てました。しかし電気もつかない。水もない。

   暗くなると眠りました。井戸も自分で掘りました。足をひっかけて「ヨイショ」と押すと

   水がボコボコと。すべてがのどかです。



   廻りは草薮と野薔薇が点在し、その花を取ってきては、家の廻りに植え込みまし

   た。

   その頃、東郷青児先生がパリに行こうと言いだしたのです。

   憧れのパリは船で行きます。


   家内と六歳の息子を残して、初めてのパリ行きは、三ヶ月の予定です。



    マルセイユに着いた時、各家庭の庭先に薔薇が咲き、みるもの総て光輝いてい

   ました。手持ちの資金は僅かです。


   一日でも長くパリにいたい心は強く、画廊も訪ねてみました。そのうちある画商が

   私の絵を気にいってくれたのです。


   内地を想い家の薔薇を描いたサムホールの作品でした。


   一緒にいた友人達には悪いですが、あゝこれでしばらくパリにいられる!!天に

   ものぼる想いです。


   その後も薔薇の絵を三枚描き、その上風景や人物画も買ってくれたのです。


   映画のエキストラもやりました。ドイツ映画ですが、監督にも気に入られ、贅沢な

   ホテルで暇な時には絵も描けました。


   余談ですがその映画はカンヌ映画祭に出品されました。三ヶ月の予定が一年半と

   なり帰国しました。



    我が家についてみると、野生の薔薇が近づけないほど大きく、家を取り囲んでい

   ます。これでは頭の黒い狼も近づけません。


   野薔薇が家内と息子の留守宅を守ってくれていたのです。


   一年後にやっと電気がひかれ、そのままこの地に住みついたのです。

   
1993年
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